• TATSUNO-KASEI 龍野化成
  • バッグや小物等のハイクオリティーオリジナルレザーを製造
  • ネットショップでは一枚から購入可能
  • スニーカー等の靴用ソフトレザーも生産
  • ブランド、メーカー、ハンドメイドデザイナー様、お気軽にお問合せください。

第103回 TLF 極めのいち素材 第1位

2022/12/10

この度第103回TLFにて、極めいちの素材で1位を獲得しました。

それのインタビュー内容を紹介させて頂きます。

昭和53年の龍野化成工業所として創業し、平成17年6月に龍野化成株式会社として法人化しました。創業から現代までソフレザーを中心にお客様の要望に合わせた革の厚み、ソフト加減、風合いなど、お客様と一緒の目線に立たれたモノづくりを心がけられています。
そんなモノづくり精神と技術力のもと生まれた『ミカゲ』は、まさに見た人を惹きつけ、驚かされる逸品に仕上がりました。今回、製造に携わられた上田雅也氏に制作秘話などお話を伺うことができました。
この素材の特徴をお聞かせください。
まず一番の特徴はこの見た目ですね。「石っぽくないですか?」という問いかけをコンセプトにしたこの革は、弊社が得意とするソフトレザーに硬い石っぽいイメージの彩色をし、硬いと思いきや柔らかいと思わせるトリックアートのような、いたずら心溢れる革素材になっています。

人が見て「あれっ!?」と思わせることは、私たち開発者として大事な事だと心がけ、普段から面白いモノには常にアンテナを張ってアイデアに取り入れるようにしています。
素材の用途としては、ベースがソフトレザーということもあり、スニーカー系の軽めの靴から、バッグや小物などの袋物、クッションなどのインテリアなど、様々な製品に汎用できます。
牛革なのである程度大きなものまで対応は可能です。

素材開発のきっかけとなった背景をお聞かせください。

この革を作ろうとして生まれたものではありませんが、この染色は吹き付けによるアンチック仕上げになります。アンチックも様々な処方があって、例えば「AとBを掛け合わせたらどうだろう?」、「CとDは?」といった感じで、様々な処方を試みていたところ、ある配色で「これ石に見えない?」と思い、そこから微調整をしながら、さらに御影石っぽい感じに作り上げたのが、この『ミカゲ』という革素材になります。

製作にあたって苦労したことなどありますか?

この革は染色が命なので、やはり色の付け方が一番苦労しました。開発のきっかけとなったのは偶然の産物ですが、そこからさらに石っぽくするために、色味の厳選、吹き付け方などを実際の御影石の写真を見ながら試行錯誤したり、表面の加工も何パターンか作ったりして、完成へと結びつけました。

どのような市場がビジネスチャンスとなりますか?


汎用性が高いので、ファッションから雑貨まで様々な用途に使用していただけると思っていますが、私個人としてはクッショ
ンなどのインテリアに使われると面白いのではと思っています。またビジネスチャンスとは違いますが、この革を手に取った方が「私ならこの革でこんなモノを作ってみたいな・・・」と思ってくれるのが一番嬉しいかもしれないですね。

SDGsに注目した新商品の特徴など、言える範囲で教えてもらってもいいですか?


現在市場に出回っている皮革は大きく分けて「クロム鞣し」と「タンニン鞣し」の二種類があります。クロム鞣しに関しては六価クロム化問題、タンニン鞣しに関しては森林破壊問題など、それぞれ一長一短があり、どちらが良い・悪いというわけではないのですが、弊社で開発したこの新商品は、そのどちらにも属さない特殊な手法の革になります。
特徴として簡単に述べますとクロムおよび植物タンニンを使用しないので、六価クロム化や森林破壊などの問題が解決し、尚且つキメ細やかな平滑性のある吟面に仕上がります。また、クロムやタンニンは着色前にうっすらと青みや黄みがかった色をしてますが、純白からの染色なので、鮮やかな色の再現ができます。他にもクロム革より軽量でタンニン革にできないガラス革や防水革の加工にも対応しています。

コロナ渦による影響で、何か環境が変わったことは?


コロナの影響でというわけではないのですが、以前から弊社で立ち上げているオンラインショップで革を売っており、最近では一般の方の購入者が少しづつ増えてきたかなと思います。ただ、弊社の会社名が革屋さんのイメージがつきにくい名前なので、そこは今後ブランディングなり、何か考える必要はあるかもしれないですね。

今の皮革業界について、どのように感じられますか?


以前に比べると魅力的な職業でなくなってきているのか、職人の後継者が不足していることが大きな問題になっています。どこの業界でも同じことが起きていますが、職人の高齢化が今後の日本経済の問題として大きく取り扱われていくと思います。
後継者問題に関係するかは分かりませんが、先日ある学校から工場の見学依頼がありました。昔はもっと様々な業種の工場学などが課外授業の一環として学校が果敢に取り組んでいました。そのような活動が最近では少ないので、もっと増やせば、少しでも若者の興味の対象になるのかなと思います。

来場者の方々へメッセージをお願いします。


私たち開発業者からすると作った革をもっと皆さんの身近に感じていただけたら、これ以上ない職人冥利に尽きると思っています。今後も皮革業界が活性化するためにも、来場者の皆さんには、ぜひ、いろんな革を見て、触れて、体感して帰っていただきたいと思います。